洗練された小物アイテムなしでは成立しない完璧なアウトフィット。機能的なだけでなく、さまざまなルックにもフィットし、遊び心も溢れるラグジュアリーな小物アイテムはスタイリングを楽しくし、女性たちが持つそれぞれの個性を引き立ててくれます。トレンドはファッションの歴史の中で常に進化や変化を遂げていますが、世代を超えて人々のワードローブに残り続けるアイテムが存在します。
Hermès Carréシルクスカーフ、コスチュームパールネックレスとファンシージュエリーを重ねた美学が印象的なココ・シャネルのコスチュームジュエリー、ジャッキー・ケネディがインスピレーションとなったオーバーサイズサングラス、そしてタイムレスに存在するレザーアイテムなど。最もアイコニックな小物アイテムの世界を探求し、永遠に色褪せない、人々を魅了するルックを発見してみてください。
これまでのアウトフィットをさらに高めることができる、本当に持つ価値があるアイコニックな小物アイテムたち。今回の特集では、ワードローブをレベルアップするためのヒントとなるさまざまなルックを提案しています。ベストな小物が見つかったらセレクションからドレスやシューズも一緒に選んで、より自分らしく輝けるルックを構築してみてはどうでしょうか。
The Leather Logo Buckle Belt
ラグジュアリーなレザーベルトは、ルック全体を魅力的に引き締めます。機能的であり、ラグジュアリーアイテムとして比較的手に取りやすいレザーベルトは、控えめでありながらもさまざまなアウトフィットに適応する優れたアイテムです。レザーベルトは非常に古くから存在するアイテムで、初期のものは青銅器時代にまで遡ります。そこから長きにわたり、レザーベルトはさまざまな異なるアイコンスタイルの中で大きく進化してきました。かつて大きめのメタルバックルが施されたレザーベルトは、アメリカ西部のカウボーイのイメージが強いアイテムでしたが、現在では多くのラグジュアリーブランドが、それぞれ独自のこだわりを加えたバックルやレザーベルトを実現しています。
フィット感を調整する実用的な役割だけでなく、レザーベルトはウエストにクラシカルなタッチを生み出しルック全体を引き締めます。レザーベルトの魅力は、さまざまなスタイリング方法を楽しめるところにもあります。クールなジーンズとシャツに合わせればカジュアルルックを高めることができますが、フォーマルなパンツに取り入れれば洗練されたスタイルに仕上がります。近年ではロゴをあしらったレザーベルトが、世代を超えるアイテムとしてワードローブに定着しています。その中でもGG Marmontレザーベルト、Ferragamoガンチーニリバーシブルレザーベルト、Valentino Garavaniが手がけるVLogoレザーベルトは、アイコニックな定番として世界中で愛されています。
The Pearl Necklace
静かで控えめなクワイエットラグジュアリー、真の気品の象徴といえるパールネックレス。世界中の王族から、映画 (たとえば『プラダを着た悪魔』でのアン・ハサウェイ)、そして女性たちのジュエリーボックスまで、パールネックレスはあらゆる場面で愛される小物アイテムです。パールは顔周りに洗練された輝きをもたらすだけでなく、パールが持つさまざまな色合いや形は季節に関係なくさまざまなシーンに取り入れることができ、冬にはシンプルなセーターに重ねたり、暑い季節にはワンピースと合わせて気品ある雰囲気を演出することができます。
20世紀に入ってココ・シャネルが生み出したコスチュームジュエリーが流行するまで、宝石の女王であるパールは、上流階級の人々だけが身に着けるものでした。シャネルはツイードや無地のウールニットに、高級な天然宝石とさまざまな人工パールを混ぜ合わせたジュエリーを重ねる、伝統的なスタイルとは異なる新たなスタイルを提案しました。これを見た裕福な女性たちは、本物のジュエリーとイミテーションを組み合わせたコスチュームジュエリーを纏い始め、シャネルのパールネックレスはコレクターたちの注目の的となりました。ダイアナ妃も同じくパールを愛しトレンドを生み出してきましたが、ダイアナ妃は複数のパールが連なった短めのチョーカーネックレスを好み、同じアイテムに異なる宝石やモチーフを組み込んだスタイルが印象的でした。
ミニマリストにもマキシマリストにも自然に溶け込むパールネックレス。クラシックなこのアイテムにちょっとしたモダンなひねりを加えるなら、新しい解釈でコンテンポラリーなスタイリングに挑戦してみてはどうでしょうか。
アイコニックなパールネックレスを新しい視点でアウトフィットに落とし入れるなら、控えめでクラシックでありながら、ディテールで現代的な要素を落とし込むことができる、抽象的でユニークな形状と発光色を放つバロックパールネックレスがぴったり。お気に入りのジーンズにグラフィックTシャツ、そこにパンプスやスニーカーを合わせてフェミニンシックに。海辺では水着に重ねれば、誰もが振り返る魅力溢れるビーチルックの完成です。
Oversized Jackie O Sunglasses
クラシックなシルエットと大胆な小物アイテムを愛したジャッキー・ケネディは、彼女を象徴するGucci Jackieバッグと一緒に、ビッグシルエットのサングラスを着用する姿がよく見られていました。元大統領夫人でありスタイルアイコンでもあったジャッキー・ケネディは、1960年代、70年代の典型的なスタイルであった大きく大胆なオーバルや六角形サングラスを愛用していましたが、そのスタイルは現代の定番となり、長年にわたり小物アイテムのアイコン的存在として君臨しています。オーバーサイズのサングラスは適度に顔を隠すため日焼け止めとしても活躍するだけでなく、その装いはシックでミステリアス、ノーメイクで外出する際にも頼りになるアイテムです。
大きめのサングラスをアウトフィットに選ぶ場合は、その他の小物とのバランスが大切です。繊細なゴールドチェーンやピアスで色の割合を考えたり、全体が重くならないよう、顔から離れた場所に着けるリングのようなジュエリーでバランスを取ることが大切です。重めのネックレスやピアス、イヤリング、ストールなどは顔にも重い印象を与えてしまいます。1960年代、70年代に注目を浴びた、大きめのサングラスが印象的なジャッキー・ケネディのルック。現在はChloe, RayBan, Gucciをはじめとるする多くのラグジュアリーブランドが、偏光レンズやUVプロテクション、モダンなディテールなど、レトロなスタイルに現代的なタッチを加えたタイムレスなモデルを多数展開しています。
Luxury Watches
ラグジュアリーな腕時計は贅沢と永遠を象徴しています。人類は太古の昔から、時間というテーマに魅了されてきました。5000年以上も前、古代エジプト人は時間を計測するために、日時計を使用していました。現在に至るまで世界一の時計ブランドと称されるスイスの高級時計メーカーPatek Philippeは、1868年にハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人のために最初の腕時計を制作しました。かつでは上流社会だけのアイテムであった腕時計は、その後手頃な価格のものが大量生産され、現在では多くの人の必需アイテムとなっています。しかしラグジュアリーな腕時計はステータスの象徴として、今でも多くの人々を魅了し続けています。数々のアメリカ企業がマスマーケットを選択する一方で、Rolexのようなスイスの時計メーカーは、ラグジュアリーで永遠に色褪せない高級時計を制作し続けています。
俳優ポール・ニューマンが1968年に妻から贈られたRolex Daytonaを、1970年代~80年代にかけて愛用していた話は有名です。高級時計を持つことは、まさにステータスを上げることです。ハイエンドな腕時計はビジネスシーンのスーツだけでなく、ジーンズとシャツのシンプルなアウトフィットにも美しく落とし込むことができます。腕時計と同じカラートーンのイヤリングやピアスで全体のバランスを考え、フェミニンな雰囲気を生むリングを反対側の手首に。もしくは何も加えない洗練されたシンプルなルックで、腕時計を主役にしてみるのもいいかもしれません。トレンドに左右されないハイエンドな高級時計は、本当に持つべき小物アイテムであることに間違いはありません。
The Panama Hat
暖かい南国の街、ヴィンテージな雰囲気、そしてのんびりとリラックスした感覚が生まれるパナマハット。パナマハットと呼ばれるこのハットは、パナマではなくエクアドルが発祥地です。パナマ運河を建設していた作業員たちは、強い日差しから身体を守るためにエクアドルハットを被っていました。ところが運河の建設を見学していたルーズベルト大統領の写真がメディアで拡散したことで、1906年に「パナマハット」と名付けられたのです。その優れた実用性により着用されていたパナマハットは、1974年版『華麗なるギャツビー』のロバート・レッドフォード、『俺たちに明日はない』のウォーレン・ベイティ、『カサブランカ』のハンフリー・ボガードが大画面で着用したことにより、スタイルステートメントのような存在へと進化しました。
マスキュリンな要素を加えたフェミニンなルックや、ゆったりとした感覚を落とし込んだアウトフィットをバランスよく実現できるパナマハット。男性の小物アイテムとして流行したパナマハットですが、今ではユニセックスアイテムとしてワードローブの定番となっています。
The Printed Silk Scarf
グレース・ケリー、ジャッキー・ケネディー、オードリー・ヘップバーン、ベラ・ハディッド、エイサップ・ロッキーの共通点は?トレンドセッターであるセレブリティたちは、アイコニックなシルクスカーフを愛し、それを自分のものにする方法を知っています。さまざまなルックをさりげなくシックに実現できるシルクスカーフは、エレガントでミニマルなシャツの首元に巻いたり、エリザベス女王やエイサップ・ロッキーのようにヘアカバーとして使用したり、胸元を結んでトップスとしてジーンズと合わせたりすることができます。最もオリジナルなスカーフの取り入れ方を披露したのは、骨折した腕をスカーフで吊ったグレース・ケリーです。ベラ・ハディッドやエイサップ・ロッキーのように、エリザベス女王もシックでナチュラルな雰囲気を演出できる事実が、プリントシルクスカーフのアイコニックな本質を証明しているといえます。
シルクスカーフの代名詞であるHermès Carréは、1937年にパリで初めて誕生してから、長年にわたり究極のラグジュアリーアイコンとして君臨しています。さまざまなパターンがあしらわれている色鮮やかなデザインは、そのほとんどが乗馬のルーツに忠実であり、卓越した綿密なつくりが優れた耐久性を生み出しています。
約250個の繭からつくられる、エルメスの一枚のスカーフ。1937年にスカーフが初めて制作されてから、現在に至るまで同じ制作方法で実現されています。真のラグジュアリーの象徴であるエルメスが手がけるスカーフは、すべて手作業によるシルクスクリーンプリントと手巻き縁縫いが行われ、一枚のスカーフが完成するまでに6ヶ月から18ヶ月という驚異的な時間を要します。最高の贅沢を詰め込んだシルクスカーフでで多くの人を惹き込むエルメスですが、Gucci, Emilio Pucci, Casablancaなど、その他数多くのブランドがラグジュアリーなスタイルのスカーフを提案しています。
The Headband
ファッションアイテムの中でも使う派、使わない派で好みが分かれる小物の一つがヘアアクセサリーです。1960年代にブリジッド・バルドーのようなスターたちが愛用したクラシックなヘッドバンド、1980年代のプレッピースタイルを象徴するぷっくりとしたカチューシャ、そして2000年代初頭に流行したコームカチューシャ。さまざまなスタイルで取り入れられてきたヘッドバンドというアイテムが、2023年、再び注目を集めています。ぷっくりとしたパファーカチューシャを合わせたY2Kを彷彿とさせるスタイルには、堂々したシックな雰囲気が漂います。
エリザベス朝時代における英国宮廷の王室の頭飾りを連想させるボリューミーなヘッドバンドは、グレース・ケリーとして知られていたモナコのグレース王女や、キャサリン妃のような現代の王室の女性たちの装いにエレガントなタッチを生み出しています。少し高さのある大胆な外観がティアラのような効果を出しながらも、より日常的なアウトフィットに落とし込める小物アイテムとして自信とステータスをにじみさせます。
モダンなヘッドバンドやカチューシャは、さまざまなスタイリングに合わせることができます。ブレザーやカクテルドレスには、程よいボリュームがあるクラシックな黒のヘッドバンドを。よりリラックス感のあるルックには、柔らかくボヘミアンな雰囲気のニットのヘッドバンドがベストです。
Leather Gloves
マイケル・ジャクソンが着用していたクリスタルが散りばめられた白いグローブ。1980年代初頭にパフォーマン用のアイテムとしてマイケル・ジャクソンが採用したこの唯一無二の白い手袋は、アイコニックな小物の中でも、時代やカルチャーのあらゆる側面で際立っています。
マイケル・ジャクソンが着用していたグローブの現在の価格はおよそ9万8000ユーロで、2020年に行われたオークションの際に、アメリカの匿名購入者によって落札されました。この唯一無二のグローブに関してはポップカルチャーやステージパフォーマンスの歴史に影響を与えた、特殊なアイコニック小物アイテムの代表的な例ですが、グローブというアイテムは、日常生活や毎日のワードローブに自然に落とし込むことができる小物です。
唯一無二の白いグローブを選んだマイケル・ジャクソンですが、カール・ラガーフェルドは黒いフィンガーレスのバイカーグローブを愛用していました。彼がレザー手袋を着用しないことは稀で、手がけるコレクションにもレザーグローブはたびたび登場しています。ラガーフェルドは自由にスケッチすることができる、フィンガーレスのレザーグローブを好んでいました。
レザーグローブはラグジュアリーと機能性が融合したアイテムです。古代ギリシャ人、古代ローマ人、古代エジプト人は、寒さを防ぐために革の手袋を使用していましたが、中世およびルネッサンス時代のヨーロッパの貴族や王族は、贅沢や権力、富の象徴として、稀少な宝石やストーンで装飾された、毛皮でつくられた手袋を着用していました。コンテンポラリーなハイエンドモデルを生み出すValentino Garavagni, Gucci, Burberryなどのラグジュアリーブランドは、より控えめなアプローチで、シックなデザイン、上質なレザー、洗練されたディテールを織り込んだアイテムを実現しています。
寒さから手を守るグローブは、秋冬のワードローブに欠かせないアイテムです。少し暖かさが残る秋には薄手のジャケットとロングブーツに裏地がない手袋を選んで、寒い冬にはウールのダブルブレストジャケットにスカーフ、ハット、そしてお気に入りのグローブで気品ある装いを。アイコニックなレザーグローブを組み合わせたクラシックなスタイルは、これからもずっと色褪せることはありません。